男性更年期障害は、中年男性の男性ホルモンの低下により、身体症状(身体の痛み、筋力の低下)、精神症状(抑うつ気分、不安、不眠)、性機能症状(性欲減退、勃起力の低下)を主体としています。

 男性更年期障害はその多様な病態、およびアンドロゲン低下による臓器機能低下を示すことから、LOH症候群(late-onset hypogonadism syndrome、加齢男性性腺機能低下症候群)ともいわれています。

 ストレスは40歳代にピークに達するといわれており、ちょうどその頃、男性の性腺機能が落ち、遊離テストステロン(FT)の低下による男性のうつ症状が現れやすくなります。そこに、男性ホルモン補充療法(androgen replacement therapy: ART)を行うと効果的な場合も多くみられます。

 当科は、40歳以上の男性のうつ病や不安症の方で、希望される場合、男性更年期の可能性も検査し対応を検討する「男性更年期専門外来」(毎週木曜日午前)を設けました。

 その場合、いくつかの自己評価尺度をチェックしていただき、FT、黄体ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、テストステロン、前立腺特異抗体(PSA)などを調べます。

 FT値が8.5pg/mL未満の場合、ARTをするかどうか、患者さんと相談します。その後は3ヵ月おきに治療効果および副作用の評価をします。当然、必要あれば、抗うつ薬や漢方の使用も考慮します。

 40歳以上の男性で、体調不良や気分の変化を感じている方は、一度当科男性更年期専門外来を受診してみてはいかがでしょう。

 なお、各専門外来の時間枠内に、その専門外来疾患以外の診察も致します。気軽に心療・精神科外来にお問い合わせください。