変形性膝関節症の原因には、原因のはっきりしない一次性のものと、原因のはっきりしている二次性のものとに大別できます。変形性膝関節炎の大部分の原因は二次性によるものです。
日本人の変形性膝関節症でもっとも大きな原因となるのは、足の形がO脚であることです。日本人の靱帯の位置や筋肉の走っている方向などに特徴があるため、O脚になりやすいと言われています。なかには、外側の軟骨がすり減り、欧米人に多い、ひざが内側に傾くX脚になる人もいます。
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右の図は、O脚の結果、関節軟骨(赤で囲った部分)がすり減ってしまった状態です。
O脚の状態は、どうしても膝の内側に負担がかかります。O脚は自然には治りませんから、この状態が長く続くことになり、関節軟骨は部分的にすり減り、骨どうしはこすれ合う状態になってしまいます。痛みもどんどん増してきます。またこの状態では、生体の防御反応が働いて、骨が必要以上に硬くなってしまいます。
最終的には、関節軟骨は消失し、関節は機能を果たさなくなります。
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右の図は、X脚の結果、関節軟骨がすり減ってしまった状態です。
O脚の場合とは逆で、X脚の場合は膝の外側に負担がかかるようになります。
O脚同様、この状態が長く続けば、関節軟骨は部分的にすり減り、骨どうしはこすれ合う状態になってしまいます。
ちなみにX脚は日本人には比較的少ないとされています。
自分の足の状態をよく知ることは、膝の痛みに向き合う第一歩です。
変形性膝関節症では、つぎのような症状が現れます。
ひざの違和感
はじめは、ちょっとした動作からひざの違和感が始まります。ひざが重たく感じ、なんとなくひざの歯車がかみ合わない感じになります。
ひざのこわばり
起床直後、ひざが動きにくかったり、長時間座ったままでいると、関節がこりかたまったりします。症状が軽いうちは、この症状は一時的なもので、こりをほぐすように少しずつ動かしていると軽減します。ところが、重症になるとほぐれにくくなり、関節が動く範囲が狭くなってしまいます。
ひざの痛み
症状が進行すると、徐々に痛みをともなうようになります。軽症のうちは、歩き始めや、ひざを動かし始めたときに痛みます。徐々に症状が進行すると機械の油が切れたときのようなギシギシとした痛みが生じ、動かしているうちに少しずつ痛みが引きますが、動かしすぎると、また痛み始めます。
ひざの痛みのために、階段の昇り降りがつらくてできない、正座ができない、あぐらがかけない、走れない、長時間の立ち仕事ができないなど、運動や行動が思うようにいかなくなります。ひざの関節を深く曲げると痛みが生じるため、意識的に曲げないようになり、やがて関節の動きが悪くなっていきます。このような状態を「拘縮(こうしゅく)」といいます。
さらにひどくなると、歩行そのものもつらくなり、日常生活にも支障が出てきます。
ひざに水が溜まる
患者さんのなかには、ひざに水が溜まる症状(関節水腫)がおきる人もいます。ひざが腫れ、水のためひざを曲げようとするとはったような感触を受けます。
関節の変形
変形性膝関節症は、O脚気味の人に多くみられることは説明しましたが、進行するにつれて、O脚の度合いがひどくなっていきます。これは、体重がひざの内側にかかるようになり、ひざの内側の軟骨がすり減った結果、重心の軸が内側にずれるためです。O脚はゆっくりと、少しずつ進行していきます。