近年、成人期の発達障害が注目されています。いわゆる大人の発達障害です。
発達障害は大きく二つに分けられます。一つ目は「自閉スペクトラム症/自閉スペクト ラム障害:Autism Spectrum Disorder(ASD)」で、二つ目は「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害:Attention-Deficit/ Hyperactivity Disorder(ADHD)」です。
ASD は、以前アスペルガー症候群と呼ばれていたものにあたり、そちらの呼び方の 方がピンときやすいかもしれません。ASD の方は、対人的相互作用の障害(社会性の 障害)、コミュニケーションの障害、興味の限局、同一性保持の強迫的要求(常同性・ こだわり)を特徴とします。一般には“空気が読めない”、共感できない、コミュニケーシ ョンがうまくできない、こだわりが強く付き合いづらいなどで気づかれます。孤立しやすい傾向にあります。
ADHD は、不注意,多動性および衝動性が主症状で、ケアレスミス,無くし物が多い、人の話を最後まで聞けない、約束を忘れる、宿題ができない、じっとしていられない、 軽はずみな行動が多い、行列に並べないなどで気づかれます。
ASD、ADHD ともに、ある意味特性であり、多少は誰でも持っている部分でもあります。 しかし、その程度が強くなると、周囲との軋轢、孤立、自信喪失、ひきこもり、ギャンブル依存、自傷行為、うつ病などさまざまな問題を抱えて苦しむ傾向があります。
また、ASD と ADHD は基本的には幼少期から認められる特性ですが、成人(大人) になるまで、何とか周囲の援助もあり大きな問題とならずに経過する場合があります。 しかし、成人(大人)となり、社会に飛び出し責任のある立場になると、その特性が表面 化・顕在化して、本人も周囲も困り、疲弊する事態になりえます。
当院の「成人期発達障害」専門外来では、成人(大人)の発達障害の診断を慎重に行い、それぞれの方の“生きづらさ”をどう解決していくかを一緒に考えていく場としてお役にたてればと考えています。
なお、各専門外来の時間枠内に、その専門外来疾患以外の診察も致します。気軽に心療・精神科外来にお問い合わせください。